はじめに
「あなたのサービス、ひと言で言うと何ですか？」
この問いに即答できる人は、意外と少ないかもしれません。しかし、ビジネスにおいて“伝える力”は売上や成果を左右するほどに重要です。どれだけ良いアイデアや商品を持っていても、それが「伝わらない」限り、相手は動いてくれません。
今回紹介するのは、柿内尚文氏の著書『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』です。編集者として数々のベストセラーを生み出してきた著者が、誰でも再現可能な「伝わる型」を体系的に解説しています。
この本を通して、私たちビジネスパーソンがどう「伝える力」を磨き、結果につなげるかを深掘りしていきます。
なぜ「伝える力」がビジネスで最重要なのか？
多くのビジネスパーソンが、毎日のように「伝える」という行為をしています。
- 企画書を書く
- プレゼンをする
- 営業メールを送る
- チームに指示を出す
- SNSで発信する
しかし、「話した＝伝わった」ではありません。むしろ、相手が「行動する」「納得する」「感動する」レベルにまで届かなければ、それは“伝えたつもり”に過ぎないのです。
この“伝えたつもり地獄”から抜け出すために必要なのが、柿内氏が本書で解説する36の伝わる法則です。
『伝わる法則』のエッセンス：伝え方にも「型」がある
本書の核心は、「伝える力はセンスではなく技術であり、誰でも身につけられる」という点です。
例えば、「バナナの魅力を100文字で伝えてください」と問われたとき、次のような答えがあったとしましょう。
「手軽に食べられて、甘くて栄養満点。エネルギー補給にも腸活にもピッタリな、忙しい現代人に優しいフルーツです。」
これは約70文字ほどですが、バナナの魅力を端的に伝える“型”に沿った表現だと分かります。
柿内氏はこのように、伝えたいことを「言いたいように言う」のではなく、**“相手に伝わる順序・構造・言葉の選び方”**で組み立てることを教えてくれます。
ビジネスに活きる「伝わる型」の具体例
では、実際に本書で紹介されている法則から、ビジネスに役立つ要素をいくつか紹介しましょう。
1. 「特徴」ではなく「ベネフィット」で語る
これはマーケティングでも有名な原則です。たとえば、次の2つを比べてみてください。
- 特徴：「このPCはSSD搭載で処理速度が速いです」
- ベネフィット：「このPCなら、ストレスなく業務がサクサク進みます」
後者の方が「自分にとってどういいのか」が明確に伝わります。伝える相手の“未来”を描くことがポイントです。
2. 情報は「3つ」に絞る
「人が一度に理解できる情報量は3つが限界」という心理的な法則を活かし、プレゼンや提案では「3つのポイント」にまとめることが効果的です。
例：「この施策には、時間短縮・コスト削減・顧客満足向上の3つのメリットがあります」
3. 数字を入れると説得力が上がる
「当社の製品は多くの人に好評です」よりも、
「お客様満足度93％を記録しています」の方が、はるかに信頼されます。数字には感情を動かす力があるのです。
SNS・企画書・営業トークに即使える“伝える技術”
本書では、抽象論ではなく、具体的にどう表現すれば伝わるか、すぐに実践できる形で紹介されています。たとえば、
- キャッチコピーの構成（〇〇だから××）
- プレゼン冒頭のつかみ方（問いかけ、驚き、ストーリー）
- 文章を簡潔にするための言い換え法（長文→短文への変換）
など、どれもそのまま仕事に使えるテクニックばかり。
これは単なる言語テクニックではなく、「相手の時間を奪わずに価値を届ける」ための配慮の技術でもあります。
「伝える力」はリーダーシップの根幹でもある
チームを動かす、組織を率いる、部下を育てる――これらすべてにおいて、「伝わっているかどうか」は極めて重要です。
「なぜやるのか」が伝わらなければ、人は動きません。単なる指示ではなく、「共感・納得・腹落ち」を生む伝え方が必要です。
柿内氏の法則をリーダーシップに応用すれば、ビジョンの言語化、組織への浸透、社内プレゼンの成功率などに確実な違いが生まれるでしょう。
書く・話すが変われば、成果が変わる
私たちは日々の中で、多くの「もったいない伝え方」をしています。
- 長すぎて要点が見えない資料
- 顧客の課題とズレた営業トーク
- なんとなく響かないWebコピー
これらは、すべて「型」を知ることで変えられます。『バナナの魅力を100文字で伝えてください』は、伝え方に悩むすべてのビジネスパーソンにとっての“伝える辞書”になり得る一冊です。
おわりに：伝えるは、ビジネスの武器になる
AIが進化し、働き方が変わり、人との接点がデジタル化していく今だからこそ、「言葉の力」はますます重要です。
何を、誰に、どう届けるか。それを戦略的に設計し、伝える力を磨くことは、まさに“最強のビジネススキル”です。
あなたのアイデアも、商品も、想いも。伝え方ひとつで、世界の受け止め方はまったく変わります。
『バナナの魅力を100文字で伝えてください』は、そんな変化を起こす第一歩を与えてくれる名著です。
★こんな人におすすめ
- 営業・プレゼン・企画職の人
- SNSやブログで発信している人
- 商品や自分の魅力をうまく伝えたい人
- 言葉選びに自信がない人
- チームを動かす立場にある人
書籍情報
書名：バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則
著者：柿内尚文
出版社：かんき出版
発売日：2021年12月21日
ページ数：240ページ
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