「CAN’T HURT ME」に学ぶ、ビジネスに活きる“削られない心”の鍛え方

ビジネス

― デイビッド・ゴギンズが教えてくれる、逆境を力に変える思考法 ―

現代のビジネス環境は、日々が「変化」と「競争」と「プレッシャー」の連続です。働く私たちに求められるのは、能力やスキルだけでなく、折れない心挑戦し続ける意志です。

そんな現代人に強烈なインパクトを与えるのが、デイビッド・ゴギンズ著『CAN’T HURT ME(キャント・ハート・ミー)』です。本書は、精神的にも肉体的にも極限まで自らを追い込み続けてきた著者の壮絶な半生と、そこから導き出された「前進し続けるためのメンタル戦略」が語られています。

今回は、本書から得られるビジネスに活かせる教訓を、以下の視点で掘り下げていきます。


1. 「40%ルール」:限界の“その先”に挑むマインドセット

ゴギンズが提唱する最も有名な概念のひとつに、「40%ルール」があります。
これは、人間が「もう無理だ」と感じるとき、実は能力の40%しか使っていないという考え方です。

● ビジネスへの応用

仕事で「もう限界」と感じた瞬間、本当にそこで止まってしまってよいのでしょうか?
プレゼン資料がうまくいかない、営業成績が振るわない、社内の人間関係に疲れた…。そんなときこそ、この40%ルールを思い出してみてください。

「今が限界じゃない。ここからが“本当の自分の挑戦”のスタートだ」

この考えをもって行動を続ける人は、粘り強さと突破力を手に入れます。ビジネスにおいて、成果を出す人と出せない人の違いは、実力の差以上に、この一歩を踏み出せるかどうかにあります。


2. “Accountability Mirror”:現実から逃げず、自分に正直であれ

ゴギンズが日課にしていたことのひとつに、「アカウンタビリティ・ミラー(責任の鏡)」があります。
鏡に向かって、ありのままの自分と向き合い、厳しい現実から逃げず、「何が足りていないのか」「何を改善すべきか」を自分自身に問いかけるのです。

● ビジネスへの応用

「うまくいかないのは上司のせい」「顧客が無理を言ってくるから」…そんなふうに環境や他人のせいにしたくなるとき、自分に正直に問いかける習慣が大切です。

  • 本当に努力していたか?
  • 成長のために自分ができる行動は何か?
  • 昨日と同じことを繰り返していないか?

これを毎日、仕事終わりや朝の時間に少しでも取り入れることで、「セルフマネジメント力」が養われ、仕事の質も劇的に向上します。


3. “苦しみの中にこそ、進化がある”:コンフォートゾーンを抜け出す勇気

ゴギンズは、ネイビーシールズの地獄の訓練「Hell Week」を何度も受け、極限のマラソンにも挑戦し続けました。そこには明確な哲学があります。

「人は苦しみの中でしか、真の成長を得られない」

● ビジネスへの応用

新しいプロジェクト、初めてのプレゼン、苦手な顧客対応…。私たちも日々「苦しい」と感じる瞬間があります。
しかし、その苦しみから逃げてしまうと、今の自分のままです。

ゴギンズは言います。「苦しみは贈り物だ」。
自分を広げる唯一のチャンスは、自分が居心地悪く感じる場所にこそあるのです。


4. 他人と比較しない:「誰よりも強くなれ」ではなく「昨日の自分を超えろ」

本書の中で繰り返し語られるのは、**「他人と比べない強さ」**です。

ゴギンズ自身、陸軍の仲間やマラソン仲間と比べてしまい苦しんだ時期がありました。しかし彼は、やがて気づきます。「本当に超えるべき相手は、昨日までの自分だ」と。

● ビジネスへの応用

出世が早い同期、SNSで目立つ競合、成果を出すチームメンバー…。現代はどうしても比較に心が揺れる時代です。
ですが、真の成長とは自分自身の中にある基準を超え続けること

  • 昨日より良い提案をできたか?
  • 先月よりも早くタスクを処理できるようになったか?
  • 去年よりも顧客満足度が上がっているか?

「自己ベスト更新型」のビジネスパーソンこそ、長期的に見て信頼され、必要とされ続ける人材になれるのです。


5. 「削られない心」は才能ではない。鍛え方は存在する

ゴギンズの最大のメッセージは、「自分を変える力は、すべての人にある」ということです。

彼は決して「天才」ではありません。むしろ、家庭内暴力・人種差別・肥満・学習障害という、最も「不利」な条件の中からスタートした人間です。そんな彼が、誰よりも強靭なメンタルを身につけられたのは、「意志をもって鍛え続けたから」です。

● ビジネスへの応用

  • クレーム対応で心が折れそう…
  • 営業ノルマに追われて自己否定が止まらない…
  • 上司の言葉に感情が振り回される…

そんなときこそ、思い出したいのがこの言葉です。

「削られない心は、つくれる。」

毎日の仕事の中で、少しずつ自分を鍛えていく。それは、ジムで筋肉を鍛えるのと同じで、一夜で完成するものではありませんが、確実に強くなれます。


まとめ:現代のビジネスパーソンに必要なのは、「精神の筋トレ」

『CAN’T HURT ME』は、単なる自己啓発本ではありません。これは、“精神の筋トレ・マニュアル”です。

自分を追い込み、限界を突破し、苦しみに意味を見出す――。その思考法こそが、結果として周囲に差をつけ、誰にも奪われない「内なる強さ」となるのです。

ビジネスの現場では、毎日が戦いです。でも、その戦場で折れずに戦い抜ける人間は、特別な才能を持つ人ではなく、意志を持って心を鍛えてきた人です。

今あなたが感じている苦しみも、もしかしたら「新しい自分への入り口」なのかもしれません。
そう思えたとき、あなたの中で何かが変わり始めるでしょう。


「Pain unlocks a secret doorway in the mind, one that leads to both peak performance, and beautiful silence.」
― デイビッド・ゴギンズ

書籍情報

タイトル:CAN’T HURT ME(キャント・ハート・ミー) 削られない心、前進する精神

著者:デイビッド・ゴギンズ(David Goggins)

翻訳:櫻井祐子

発売:2024年11月14日(単行本・ソフトカバー版)

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