はじめに:「なぜうまくいかないのか分からない」その原因は?
こんにちは、今日はビジネスの中で誰もが一度は感じたことのある“モヤモヤ”を解消する思考法を紹介します。
それは、「解像度を上げる」という考え方です。
たとえば、こんな経験ありませんか?
- 会議で何を話しているのかよく分からず、結局話が進まない
- 提案資料が「ふわっとしてる」と言われて差し戻される
- 自分なりに考えたのに、「で、結局何が言いたいの?」と言われる
これらはすべて、「思考の解像度」が低いことが原因かもしれません。
今回は、東京大学FoundXディレクターの馬田隆明(うまだ・たかあき)さんの著書
**『解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』**をもとに、
ビジネスで成果を出すために必要な考え方と行動についてわかりやすく解説していきます。
🧠 著者について:馬田 隆明(うまだ・たかあき)
東京大学産学協創推進本部FoundXディレクター。
スタートアップ支援、教育、思考法の研究を通じて、多くの起業家やビジネスパーソンの思考・行動の質を高める支援を行っている。
代表作:
- 『これからのスタートアップ』(英治出版)
- 『逆説のスタートアップ・思考』(日経BP)
解像度ってなに?なぜビジネスに必要なの?
まず、「解像度」という言葉、もともとは画像のきれいさを表す言葉ですよね。
でも、ここでは**思考や情報の“明確さ”や“細かさ”**を意味します。
つまり、**物事をどれだけ深く、正確に、立体的に見られているか?**ということ。
たとえば、
- 「売上が落ちている」
→ なぜ?どの商品?どの顧客?どのタイミング?競合の動きは?
と、細かく見ていくと、「売上低下」の原因がもっと具体的に見えてきますよね。
これが“解像度を上げる”ということです。
解像度を上げる4つの視点【これだけは覚えてください】
本書で紹介されている解像度を上げるための4つの視点は、以下のとおりです。
視点 | 意味 | ビジネスでの例 |
---|---|---|
深さ | 表面的でなく、なぜを掘り下げる力 | 「なぜこの企画をやるのか?」を繰り返し問う |
広さ | 他の視点や分野から考える力 | 異業種の事例から自社に応用する |
構造 | 複雑な情報を整理して関連づける力 | ロジックツリーやマッピングで全体像を掴む |
時間 | 長期的・過去の視点も含めて考える力 | 今の施策が将来どう影響するか考える |
では、それぞれをもう少し詳しく解説していきます。
【1】深さ:なぜ?を掘り下げると本質が見える
「売上が落ちている」という問題。
よくありがちなのは、「とにかく広告費を増やそう」といった短絡的な対応。
でもそれ、本当に正しいんでしょうか?
たとえば、こう掘り下げていくと…
- なぜ売上が落ちている? → 特定商品の売上が減っている
- なぜ? → 競合が似た商品を出した
- なぜ競合に負けている? → 価格が高い、魅力が伝わっていない
- なぜ伝わっていない? → 説明が難しい、ターゲットとずれている
こうして掘り下げることで、「やるべきこと」は広告費の投入ではなく、ターゲットと訴求の見直しだと分かるかもしれません。
【2】広さ:自分の外側にヒントがある
思考の幅が狭いと、どれだけ深掘っても「自分の常識」の中でしか考えられません。
たとえば、飲食業界で働いている人が、IT業界のUX(ユーザー体験)の考え方を学んで、自分の店舗の接客フローに応用できたら…?
異分野や他人の視点を取り入れることで、まったく新しい発想が生まれます。
【ポイント】
- 他業種の事例をリサーチする
- 異なる立場の人(顧客、現場スタッフなど)の声を聞く
【3】構造:情報を整理すると道が見える
ビジネスには「バラバラな情報」がつきものです。
数字、感覚、顧客の声、上司の意見…
これらを関係性でつなぎ、意味のある構造に整理することで、次のアクションが見えてきます。
【おすすめの方法】
- ロジックツリー(Why型・How型)
- カスタマージャーニー
- マインドマップ
整理できれば、「何から手をつけるか」が自然と見えてきます。
【4】時間:今だけでなく未来を見据える
解像度の高い思考とは、「今どうするか」だけでなく「未来どうなるか」も考えること。
- この施策は、1年後にどんな成果をもたらす?
- 3年後の市場では、この戦略は通用する?
一時的な成果だけを追うと、長期的には失敗するリスクもあります。
【ビジネスでの活用】
- シナリオプランニング
- OKRの設定(Objective & Key Results)
- 中長期でのロードマップ作成
解像度を高めるには「思考 → 行動 → 検証」の繰り返しが大事
本書の一番大事なメッセージは、「考えただけでは意味がない」ということです。
仮説を立てたら、まずやってみる。
結果を見て、考え直す。
また行動して、解像度を上げる。
このループを回し続けることで、自然と思考のレベルも上がっていきます。
まとめ:ビジネスで成果を出す人は「曖昧さ」を残さない
最後にまとめます。
『解像度を上げる』は、次のような人におすすめです。
- 「もっと論理的に考えられるようになりたい」
- 「会議や資料で伝わらないことが多い」
- 「課題解決力を高めたい」
- 「行き当たりばったりから脱したい」
思考の解像度を上げることで、あいまいな状況でも「何をすべきか」が明確になります。
それが、ビジネスにおいて結果を出すための第一歩です。
最後に:まずは「なぜ?」を一つ多く聞いてみよう
このブログを読み終えたら、ぜひ今日の会議やミーティングで「それってなぜ?」と一回多く聞いてみてください。
そこから、あなたの思考の“解像度を上げる旅”が始まります。
📘 書籍情報
- 書名:解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法
- 著者:馬田 隆明(うまだ・たかあき)
- 出版社:英治出版
- 発売日:2023年10月18日
- ページ数:304ページ
- 価格:2,090円(税込)
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