はじめに:「相談」は弱さではなく、最強のビジネススキル
あなたは、仕事でつまずいたとき誰かに相談していますか?
「こんなこと聞いたらバカにされるかも…」
「自分で解決できないとダメな気がする」
「上司が忙しそうで声をかけづらい」
こんな風に、相談をためらった経験は誰にでもあるはずです。
しかし、木村尚敬さんの著書『相談する力――一人の限界を超えるビジネススキル』は、こう断言しています。
「相談できる人が、信頼され、成果を出す人になる」
「相談=頼ること=甘え」ではなく、プロフェッショナルとしての大切な技術。
本記事では、相談力の本質や実践法を、ビジネスの現場で使える形でわかりやすく解説していきます。
第1章:なぜ今、「相談力」が必要なのか?
仕事は一人で完結しない時代
現代のビジネスは、複雑化・高速化しています。
どんなに優秀な人でも、すべてを一人で解決するのは不可能です。
プロジェクト、組織、人間関係。複数の要素が絡み合う中で求められるのは、
- 自分の限界を知る
- 必要に応じて助けを求める
- 他者の知見を取り入れる
という「チームで動く力」なのです。
「相談できない人」は損をしている
相談できない人にありがちな特徴は、以下の通りです。
- 完璧主義で失敗を見せたくない
- 質問が下手で何を聞いていいか分からない
- 過去に相談して怒られたトラウマがある
こうした理由から孤立してしまい、判断ミスや業務遅延を引き起こすこともあります。
第2章:「相談力」はどう身につけるのか?
相談は“準備”が9割
相談とは、単に「聞く」ことではなく、
「自分なりに考えた上で、人に意見や助言を求めること」
です。
本書では、「相談の質を上げるための3ステップ」を紹介しています。
ステップ1:背景を伝える
「いま、どんな状況にあるのか?」
相手が全体像を把握できなければ、適切なアドバイスはできません。
例:
「今、A社との新規提案に向けたプレゼン資料を作成しています。
昨年の提案では価格面で断られたため、内容の改善を図っています。」
ステップ2:課題を明確にする
「いま、何に悩んでいるのか?」
課題がぼんやりしていると、話が堂々巡りになります。
例:
「商品の強みを打ち出す内容にすべきか、価格重視で攻めるか、方向性で迷っています。」
ステップ3:相談の目的を伝える
「何を得たいのか?」を伝えましょう。
例:
「この2案について、営業戦略の観点からどちらが有効かご意見を伺いたいです。」
このように、背景・課題・目的を整理したうえで相談する人は、信頼され、答えやすく、成果にもつながります。
第3章:「相談下手」が陥りやすい罠とは?
① 結論のない相談
「とりあえず話を聞いてほしい」というスタンスは、相手の時間を奪います。
特にビジネスでは、具体性のない相談は“雑談”扱いされてしまうのです。
② 愚痴・文句のような相談
「上司が分かってくれない」「忙しすぎて無理」などの感情的な話は、相談というより吐き出しです。
ネガティブ発言の連続は、周囲の信用も失いかねません。
③ 丸投げ相談
「どうすればいいですか?」という“思考ゼロ”の相談は、受け取る側にとって負担です。
まずは自分の考えを持ったうえで、「私はAだと思いますが、どう思いますか?」と聞くべきです。
第4章:相談できる職場をつくるには?
相談は、個人のスキルだけでなく「組織の風土」にも左右されます。
相談がしやすい職場の特徴
- 上司が部下の話をよく聞く
- ミスや弱さを見せても否定されない
- 情報共有が活発
- 成果よりプロセスを重視する空気がある
こうした職場では、心理的安全性が高く、メンバーが自然に協力し合います。
相談を歓迎するリーダーの言動
- 「最近困ってることある?」と声をかける
- 「聞いてくれてありがとう」と感謝を伝える
- 相談があれば、まず受け止める
- 失敗も学びとして扱う
相談を受け入れる姿勢が、チーム全体の「相談文化」を育てるのです。
第5章:「相談力」がキャリアを伸ばす理由
成長は“対話”の中にある
ビジネスで成長する人は、必ず他人との対話を大切にしています。
相談を通じて、
- 視野が広がる
- 新しい選択肢を得られる
- 自分の判断の癖に気づける
といった成長が可能になります。
「相談できる人」がリーダーになる
将来、マネージャーや経営者になる人に求められるのは「一人で何でもできる力」ではなく、周囲と協力して成果を生み出せる力です。
相談することは、信頼される第一歩であり、人を巻き込む力そのものなのです。
おわりに:相談は、仕事を前に進める“武器”である
『相談する力』は、ビジネス書の中でも異色です。
「頑張る」や「やりきる」といった根性論ではなく、“人に頼る力”を持とうという提案。
その本質は、「一人の限界を認め、チームの力を引き出す」ということ。
相談とは、自分をさらけ出すことでもあり、相手を信じることでもあります。
そして、それは信頼を築き、成果を生み、キャリアを前に進める力です。
【まとめ】『相談する力』で学んだ5つのポイント
- 相談は甘えではなく、成果を生むビジネススキル
- 相談には「背景・課題・目的」の整理が不可欠
- 相談下手は孤立を招く。まず自分の仮説を持とう
- 相談しやすい職場づくりが、チーム力を高める
- 相談力こそ、キャリアと信頼を築くカギ
📙書籍基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 相談する力――一人の限界を超えるビジネススキル |
著者 | 山中哲男 |
出版社 | 海士の風(発売元:英治出版) |
発売日 | 2024年1月24日 |
判型・頁数 | A5変形判/208ページ |
定価 | 1,980円(税込) |
ISBN-10 | 4909934049 |
ISBN-13 | 978-4909934048 |
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