こんにちは。今日は、多くのビジネスパーソンにとって“働き方”を見直すヒントになる本をご紹介します。
それが、**安宅和人さんの著書『イシューからはじめよ』**です。
この本のメッセージは、とてもシンプル。
「本当に向き合うべき問題(=イシュー)から考えよう」
これだけです。でも、これを意識するだけで、仕事の質が大きく変わります。
この記事では、本書の内容をわかりやすく紹介しながら、ビジネスの現場でどう役立つのかを一緒に考えていきましょう。
1. イシューってなに?
まず、「イシュー」という言葉は、あまり日常では使わないですよね。
本書では、次のように定義されています。
✔ イシューとは
**「本質的で、自分たちが答えを出すべき重要な問題」**のこと。
つまり、「これは答えを出す価値があるか?」という問いです。
例:よくある仕事の中での“イシュー”とそうでないもの
- ✕「この報告書のフォントを整えよう」
→見た目の問題。やることは明確だけど、それで成果が出るとは限らない。 - ○「この報告書で伝えるべき一番重要なメッセージは何か?」
→本質的な問い。ここを間違えると、どれだけ整っていても意味がない。
つまり、表面的な作業に時間を使うのではなく、「本当に考えるべきこと」に集中しようということなんです。
2. 仕事ができる人は“考える前に考える”ができている
著者は言います。
「犬の道を歩んではいけない」
これは、「がむしゃらに働いても、本質を外していたら意味がない」ということ。
たとえば…
- 毎日遅くまで働いているのに、成果が出ない
- 会議でたくさん発言しているのに、評価されない
これ、実は多くのビジネスパーソンが陥る罠です。
頑張ってるのに、なぜか報われない。
その原因は、“正しい問い”を考えていないからなんです。
3. イシューの見つけ方:2つの軸で考える
「じゃあ、どうやって“本当に考えるべき問題”を見つければいいの?」
著者は、次の2つの軸でイシューを判断する方法を紹介しています。
軸 | 意味 |
---|---|
① 本質的か? | その問題が解決できれば、大きな成果につながるか? |
② 解けるか? | 自分たちで答えを出せるか? 実行できるか? |
この2つが「YES」なら、その問題は“取り組む価値があるイシュー”です。
ビジネスでの例
ケース:売上が落ちているECサイトのチーム
- ✕「Instagramの投稿数を増やそう」
→解けるけど、効果は小さいかもしれない。 - ○「顧客が離れている理由は何か?」
→本質的だし、調査・分析すれば解決のヒントも見つかる。
4. イシューから考えることで、ムダな仕事が減る
私たちはつい、目の前の「やること」ばかりに目を向けてしまいます。
- 期限があるからとりあえず資料を作る
- とりあえず会議を開く
- とりあえずメールを送る
でも、“とりあえず”の積み重ねでは、いい仕事は生まれません。
イシューからはじめることで、「この作業、本当に必要?」と考える習慣がつき、ムダな仕事を減らせるようになります。
これは、生産性を上げるうえでとても大事な考え方です。
5. イシューを見つけたら「構造化」しよう
イシューが見つかったら、次は「どうやって答えを出すか?」を考えるステップに入ります。
ここで重要になるのが「構造化」という考え方。
✔ 構造化とは?
問題を細かく分けて、順番に整理して考えること。
たとえば、こんな感じです。
イシュー:「なぜ新商品が売れないのか?」
▼構造化すると…
- ターゲットに合っていない?
- 商品の価値が伝わっていない?
- 競合商品との違いがない?
- 売り場・導線が悪い?
こうして細かく分けていくと、「まず調べるべきこと」が見えてきますよね。
6. 具体例:Appleとスターバックスの“問い”
ビジネスの成功企業も、イシューから考える力に長けています。
Appleの場合:
「なぜ人々はPCではなくスマホを使いたがるのか?」
→iPhoneという“新しいライフスタイル”を提案し、大ヒット。
スターバックスの場合:
「人々がカフェに求めているのはコーヒーだけか?」
→“第三の場所(サードプレイス)”という新しい価値を創造。
彼らは、ただ「いい製品を作ろう」とは考えていません。
「人のニーズをどう解決するか?」というイシューから考えているのです。
7. まとめ:イシューから考える働き方とは?
最後に、『イシューからはじめよ』が教えてくれるビジネスで大事なことを整理します。
🔑 ポイント
- 仕事の前に「何を考えるべきか?」を考える
- “がんばる”より“見極める”が成果につながる
- 本質的で解ける問題(イシュー)に集中する
- イシューを見つけたら、構造化して解く
- ムダな作業を減らすことで、時間も成果も増える
8. 明日からできる行動
では、明日から私たちにできることは何でしょう?
- 会議の前に「この会議の目的は何か?」と考えてみる
- 仕事を始める前に「この作業の“本当の目的”は?」と問い直してみる
- 何か迷ったら「これはイシューか? それとも単なる作業か?」と立ち止まってみる
たったこれだけでも、仕事の質が変わっていきます。
9. おわりに
『イシューからはじめよ』は、派手なテクニック本ではありません。
でも、読み終わる頃には「今までの働き方、ちょっと間違ってたかも」と気づかせてくれる本です。
忙しいビジネスパーソンこそ、一度立ち止まって“イシュー”を見直すことで、仕事の成果と満足度がぐっと上がるはず。
仕事に追われているあなたへ、ぜひおすすめしたい一冊です。
📘 書籍情報
項目 | 内容 |
---|---|
書名 | イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 |
著者 | 安宅 和人(あたか かずと) |
出版社 | 英治出版 |
発売日 | 2010年11月24日 |
ページ数 | 240ページ |
ISBN | 978-4862760852 |
定価 | 税込 1,980円(※出版社希望小売価格) |
ジャンル | ビジネス書/問題解決/思考法/生産性向上 |
特徴 | 問題解決のアプローチを、実務経験に基づき論理的かつ実践的に解説した名著 |
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