【本当に幸せな働き方とは?】『The Good Life』が教えてくれた、ビジネスパーソンが人生で大切にすべき“たった1つ”のこと

ビジネス

■「成功=幸せ」と思っていませんか?

現代のビジネスパーソンは、多くのものに追われています。

  • 会社での昇進
  • 高い年収
  • スキルアップ
  • 忙しい毎日

これらを手に入れるために、長時間働き、ストレスを抱えながら日々を過ごしている人は少なくありません。けれど、ふと立ち止まったとき、こんな疑問が湧いてくることはないでしょうか?

「こんなに頑張ってるのに、なぜか満たされない…」
「人生、このままでいいんだろうか?」

そんな現代人にこそ読んでほしいのが、ロバート・ウォールディンガーとマーク・シュルツが書いた『The Good Life』という本です。この本は、85年以上も続いている“人間の幸福”に関する世界で最も長い科学的研究から導き出された、シンプルだけど深い「幸せの答え」を教えてくれます。


■ 85年間の研究が明かした「幸せな人生」の共通点

『The Good Life』の中心となっているのは、「ハーバード成人発達研究」というプロジェクトです。

この研究は、1938年に始まりました。当初はハーバード大学の学生と、ボストンの貧困家庭の少年たち、あわせて724人を追跡し始め、その後も子どもや孫の世代まで対象を広げ、今も続いています。

追跡項目は実に多岐にわたります:

  • 健康状態
  • 精神状態
  • 仕事の内容
  • 結婚・家族関係
  • 収入・学歴
  • 人間関係の質 など

これほどまでに長く、幅広く「人の一生」を見つめた研究は他にありません。

そして、長年のデータから導き出された結論はとてもシンプルでした。

「幸せな人生を送っている人には、良い人間関係がある」

お金や学歴、地位などではなく、「誰とつながっていたか」「どんな関係を築いていたか」が、その人の幸福度や健康状態を左右していたのです。


■ ビジネスの成功だけでは、心は満たされない

この事実は、忙しいビジネスパーソンにとって非常に大切なメッセージです。

例えば、こんな人を想像してみてください。

  • 高学歴で、有名企業の役員にまで登り詰めたAさん
  • 年収は2,000万円を超え、海外出張も多い
  • 毎日スケジュールはパンパン、でも家族とはすれ違い
  • 休日もスマホを手放せず、友人との関係も薄れている

こういう人は、いわゆる「社会的成功者」かもしれません。しかし、『The Good Life』の研究結果に照らし合わせると、このような人は実は「幸せな人生」から遠ざかっている可能性が高いのです。

なぜなら、人間関係が乏しい人生は、ストレスや孤独を生み、体と心にダメージを与えるからです。

逆に、収入がそこまで高くなくても、周囲との関係があたたかく、お互いに信頼しあえる人たちに囲まれている人のほうが、健康で長生きし、人生に満足している傾向が強いとわかっています。


■ 幸せなビジネスライフには「つながり」が必要

では、働くうえで“良い人間関係”はどんな効果をもたらしてくれるのでしょうか?いくつかの視点から見てみましょう。

① チームのパフォーマンスを高める

Googleの「プロジェクト・アリストテレス」という調査でも明らかになったように、最も成果を出しているチームには“心理的安全性”があります

心理的安全性とは、こんな雰囲気のこと:

  • 自分の意見を安心して言える
  • ミスしても責められない
  • メンバー同士がお互いを信頼している

こうした関係性がある職場では、アイデアが活発に出る、学びが共有される、困ったときに助け合える……結果として、仕事の成果が上がるのです。

② メンタルの安定につながる

職場の人間関係がギスギスしていると、ストレスは増し、ミスも増えます。一方で、良好な人間関係があると、「誰かが見てくれている」「相談できる人がいる」という安心感が、私たちの心を安定させます。

これはうつ病や不安障害の予防にもつながります。心の健康は、長期的な仕事人生を支える土台なのです。

③ チャンスや学びは「人」からやってくる

仕事のオファー、新しい学び、チャンスある出会い——これらの多くは、人を通じてやってきます。

  • 元同僚からの紹介
  • 信頼してくれた上司の推薦
  • 友人からの誘い など

良い関係を築いていると、そうした「チャンスの連鎖」が自然に起こりやすくなります。


■ 人間関係も“投資”と考える

では、どうすれば“良い人間関係”を築けるのでしょうか?

重要なのは、「自然にできるものではなく、意識して育てるものだ」という認識を持つことです。

たとえば……

  • 「連絡を取っていないけど、あの人元気かな?」と思ったらメッセージを送る
  • 同僚とのランチを「仕事」としてではなく「人間関係づくり」の時間として捉える
  • 家族との時間を“予定”に入れて守る

これらはすべて、人間関係という“目に見えない資産”への投資です。投資せずにリターンは得られません。


■ 忙しいあなたにこそ読んでほしい

「仕事が忙しいから、人付き合いは後回し…」
「将来のために今は人間関係よりキャリア優先…」

そう思ってしまうのも当然です。でも、『The Good Life』の著者たちは明確にこう語っています。

「人間関係こそが、最も確実にあなたの人生を豊かにする資産である」

短期的な成功に気を取られすぎて、人とのつながりをおろそかにしてしまうと、あとになって大きな後悔が残ることもあるのです。


■ 明日からできる「幸せの習慣」5選

最後に、ビジネスの現場でも実践しやすい、「人間関係を育てる小さな習慣」を5つご紹介します。

  1. 1日1回、感謝を伝える
     →「ありがとう」を意識的に伝えるだけで、関係性は変わります。
  2. 5分の雑談を大切にする
     →無駄に思える会話の中に、信頼の芽があります。
  3. 週に1回、誰かとちゃんと話す時間をつくる
     →家族でも友人でもOK。LINEだけでなく“声”を交わしましょう。
  4. “この人と関係を深めたい”人を3人決める
     →意識的な人間関係づくりは、仕事にもプライベートにも効きます。
  5. 「つながる時間」をスケジュールに入れる
     →予定にしないと、関係は後回しになってしまいます。

■ おわりに

『The Good Life』が私たちに教えてくれたこと。それは、「本当に良い人生とは、良い人間関係によって決まる」ということです。

どれだけ働いても、どれだけ稼いでも、孤独な人生は豊かとは言えません

だからこそ、今この瞬間から、人とのつながりに目を向けてみてください
それはきっと、あなたのビジネスを支え、あなたの人生を照らしてくれる大きな力になります

📖 書籍情報

タイトル:グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない

原題:The Good Life: Lessons from the World’s Longest Scientific Study of Happiness

著者

  • ロバート・ウォールディンガー(Robert Waldinger)
  • マーク・シュルツ(Marc Schulz)

翻訳者:児島 修

出版社:辰巳出版(&books レーベル)

発売日:2023年6月20日

ページ数:408ページ

ISBN:978-4-7778-3039-8

定価:1,870円(税込)

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